何かを企むような笑いを見せるヴェインを気にする事なく、マーガレッドは窓枠から飛び降りると、消えたローランの姿を追って行った…



ローランが暗闇の廊下を歩く度、彼の少し前に浮かぶ小さな蝋燭が、ユラユラと足元を照らす…


何も考えずに、無表情のまま歩くローランの後ろから、何者かが走ってくる足音が聞こえてきた…


 「ローラン!」

 「?……マーガレッ……」


名を呼び、彼の腕へと腕を絡めてきた彼女…

マーガレッドは、ローランを見上げた…



立ち止まる2人の頭上では、2人を待つかのように、2つの蝋燭がユラユラと舞っていた…


 「何のようだ…?」

腕へ絡めみつくマーガレッドに、呆れたように言葉をかけるローラン…

彼女に聞こえないよう、小さく溜息を吐いた…


 「何って、別にいいじゃないか。久しぶりなんだ。」

 「久しぶりだからってな…」

 「だって……」


マーガレッドはいつものように嫌味に笑う…

そして…


 「ローランといると、楽しいんだ。」


見上げるその顔…

微笑む鋭い瞳…

彼女の口から出たとは思えないその言葉…



 「フッ……そうしてると、女っぽいのにな…」

 「!」


真顔で言うローラン。

本当の事を言ったまで…


男の子のように振る舞っているが、彼女は女…

時として、可愛らしい表情を見せる…



だが…