「渋座、曲出来たか?」 事務所のソファーで新聞を読んでいる成田に話しかけながら、前迫が隣に座った。 「あん?まだ」 成田は新聞を読みながら、気のない返事を返した。 「それにしちゃあ、随分余裕だな」 「焦っても出来ないっしょ」 「そりゃまぁ、そうだけど」 「それに、あいつだって全部の曲にいきなり詞がつけられるわけでもないだろうしな。順番待ちだよ、順番待ち」