そこには、さっきまで街を歩いていた中里が、公園の真ん中にある池の噴水をボーッと眺めている姿があった。

「移動早っ」

と高原。

「けど、正に、ボーッとしてるなぁ」

と岡林。

「あの子は、誰?知り合い?」

と、インタビュアーが前迫に尋ねた。

「作詞家の中里哀華」

「中里哀華?」

「何やってるんだろうな?」

と、高原。

「作詞の案を練ってるんじゃないの?」

と、インタビュアー。

「そんな風に見えますか?あれが」

と前迫。
中里は噴水を見上げるのをやめたかと思うと、スッとその場にしゃがみ込み、いきなり草むしりを始めた。

「…変すぎないか、あいつ」

と、前迫。

「ただ者じゃなさすぎる」

と、岡林。

「…がまんできねぇ」

そう呟くと成田はつかつかと中里に寄って行った。

「渋座、ほっとけよ」

前迫が声をかけたが、成田は行ってしまった。

「中里さんとどういう関係なの?」

「作詞家とアーティストって関係」

と、成田の後ろ姿を目で追いながら前迫が答えた。

「ま、渋座は置いといて、続けましょ」

と、岡林。

「え、でも…」

「時間がないでしょ?どうせすぐ戻ってきますよ」

「そ、そう?」

インタビュアーは成田たちを気にしながらも、残った3人にインタビューを続けた。