「ん〜。俺は思った通りって感じかな。ちょっと、くせがありそうで、一筋縄じゃいかねぇって感じ」

と、高原ニヤッと笑った。高原は中里が気に入ったようだ。

「前迫は?」

「俺?そうだなぁ。まだよくわかんねぇけど、結構イヤミっぽい奴かもな」

「そうかぁ?」

と、高原。

「失恋がかなり響いてるって感じだな」

と、岡林。
それを聞いてそれまで黙って聞いていた成田が口を開いた。

「…仕事にプライベートをひきずってるようじゃ、中里もなんの面白みもないただの女だな」

「渋座く〜ん、なかなか厳しいお言葉ですねぇ」

と、前迫。

「あたぼうよ。俺らの仕事に関わる奴にハンパな奴はいらねー」

「かっこいい!渋座くんっ!」

と、冷やかし気味に成田を覗き込む前迫。

「バーカ」

成田は出てきた前迫の顔にデコピンをくらわす。

「いってーっ」

「で、岡林はどう思ったわけ?」

と、高原が岡林にふった。

「俺は、そうだな。失恋したばっかりってのがプラスになって『愛』について、いい詞を書いてくれそうな気がするな」