LOVE SONG

「お疲れ様です」

中里が事務所に戻るとすぐに春木が心配そうに声をかけた。

「どうだった?」

「はい、本物はなかなかかっこいい人たちでしたよ」

「で、書けそうなのか?」

「まぁ、頑張ってみます」

中里は春木に笑顔を向けた。

「そうか、そうか」

春木は安心して自分の仕事に戻った。

中里は自分の席につくと、

「よーしっ!気分転換してこよっと」

と、いきなり大きな声を出して、立ち上がると、そのまま事務所から出て行った。

「なんなんだ、あいつは」

春木始め、事務所にいたメンバー全員、あっけにとられた顔で、中里が出て行ったドアを見つめた。

外に出た中里はフラフラとウィンドショッピングを始めた。
旅行代理店の前に『ハネムーンはやっぱりハワイ』と書いてある大きな看板を見つけてふと立ち止まり、しばらく眺めていたが、ふいに、

「えいっ!えいっ!」

と右手左手の拳を交互に出して突くふりをした。
その姿をたまたま移動のバスで通り掛かったCityNoizeが目撃してしまった。

「おい、あれ、中里じゃん?」

「何やってんだ?」

「ただ者じゃねぇな」

中里の姿が見えなくなって、岡林が他の3人に聞いた。

「どう?中里哀華」