LOVE SONG

「あ、まだ名前言ってなかったね。不破公雄さんっていうの」

「え…」

中里は目の前がグラッとした気がした。

「どうしたの?」

中里の様子が変わったことに気付いた直子は不思議に思って中里を見た。

「ううん、どうもしないけど、その人、もしかして私が前にいた会社の人じゃないかな〜と、思って」

中里は無理に笑顔を作っておどけたように直子に聞き返した。

「え?あっ、そうかぁ。それでどっかで聞いた事がある会社名だと思ったのよ」

直子は納得がいったように微笑んだ。