「おうよ!」なんておじさんは言い。タクシーは走り去っていった。

駅まで歩きながら、銀座の街はキラキラ輝いていて、僕は泣きそうになった。

帰り道、地下鉄から乗り換え、電車に揺られながら、音楽を聴きながら、窓の外の景色を見ながら、全部が流れていくようで、僕の心と不安だけが置いてけぼりな気がした。

もしこの電車に乗ってる人全員が泣きじゃくってくれたら、僕の今泣きそうなこの気持ちも恥ずかしげもなく流せるのに。
なんて事を考えながら、今日が終わっていった。
OASISのWanderwallを聞きながら、僕の生活に浮かぶ月を眺めながら、この後に起こることも僕は知らずに。

第十章に続く