若菜「あの、あたし達がヨシさんから妖怪の雰囲気がするって言った原因が分かりました。」
ふいに若菜が話しはじめた。

僕「なんですか?」
煙草をポケットから取り出し吸うが、まだライターを付ける手が震える。
その手の上に、若菜が優しい笑顔をうかべ、手をかぶせる。暖かい。
が、最後にネコが言った事が気にかかる。

若菜「ネコさんです。あたし達は、ヨシさん自身に悪い物が無いかは分かります。けどヨシさんから感じられませんでした。だから分からなかったんです。」

僕「え?どういうことっすか?」

若菜「ネコさんがいつもヨシさんのそばにいたから妖怪の雰囲気がしたんです。でも、ネコさん自体がヨシさんを守ろうとしていたので、あたし達には気付けなかったんです。あの事故も。」

僕「じゃあ、ネコが俺を守ろうとしていたから、悪いものじゃなかったから気付かなかったってことすか?」

若菜「ええ。私達はヨシさんの中や周りにある悪いものを探そうとしていましたから。ネコさんは、そばで私達からヨシさんを守ろうとしていたんです。その正しい力を感じようとはしていませんでした。ネコさんの存在は光の方でした。」

光の方?…やばい。頭がこんがらがりそうだ。ネコは若菜を悪い奴だと言って殺そうとした。
普通に考えて殺そうとするほど悪い奴ってどういうことだ。なぜ悪い奴だとずっと言っていたんだ。そして途中で意識を奪われたと言って僕や智久すら殺そうとしたのは何故だ。

「はぁ?」なんて僕がため息混じりに言っていると、若菜さんは言った

「もしかすると、私達の方が悪者なのかもしれません…」


第八章に続く