俺が先に口を開いた。 「もういいかい?」 「もういいよ」 「ありがとう」 「さようなら…」 「じゃあ…幸せで…」 さよなら、かつて愛した人――――――。 君が最後に見せた涙の意味が僕には解らなかった。 離れてく君をこの手で抱きしめたくても届かない……。 僕の愛は君を惨めにさせるだけ。 今はただ、雲に隠れ、泣き出しそうな“晴れのち曇”の灰色の空に嘆く。