―バサバサッ


「っ…はぁっ…はぁっ…夢……?」


伸ばした手は空を切って力無く布団の上へと落ちた。



夢にしては現実感のある夢だった。


よりにもよって…


「翠の夢を見るなんて…」


『翠』という誰かの声は何度もあたしを呼んだ。


これはあたしが朱雀を一人の男の人として意識し始めてからだった。


あの日、朱雀に橋の上で抱きしめられてから見る夢のようなモノ…


これは……夢…?
それとも…


『過去』?

『未来』?


夢の中に出てくる
翠は朱雀とは違って翠色の髪をしていた。


そして…手には永炎朱雀…

『翠と朱』
相違した二つの色は反発する事なく互いに互いを輝かせていた。