帝が来たのは丁度夕食を終えた頃だった。
「晴明殿、雛菊殿ーっ!!いるか!?」
帝は晴明様のお屋敷の前で立っている。
晴明様のお屋敷は門から中が見えないよう術が施されてる。
「ただ今参ります。雛菊、お出迎えに行こう」
「はい。晴明様」
晴明様と一緒に帝を迎えると、帝はあたしに飛びついてきた。
「きゃっ!?」
慌てて帝を抱き留める。帝と言っても、まだ7つか8つかの子供だ。
政治も世を動かす事も自らでは出来ない。それゆえ家臣が帝であるこの子を良いように使って世を動かしている。
「帝、びっくりしましたよ。いきなり飛びついてこられて」
笑いながらそう言うと、帝はさらにギュッと抱き着いてきた。
「雛菊はあったかいぞ!それに懐かしいのだ…」
少し寂しそうに言う帝を優しく抱きしめた。
恐らく、あたしと母親を重ねて見ているのだろう。本来ならまだ甘えている年頃なんだから…


