先見の巫女



「ただいま」

「今戻った。ご苦労だった」


晴明様はそう言って式神に荷物を持たせた。


式神さんはいつ見ても力持ちだなぁ…


「ありがとう式神さん」

そうすると式神はただ首を横に振った。


式神は言葉を喋れない。でも心はあるのだ。


「晴明様、帝はいつ頃…」

「あぁ…帝なら夕刻に参られる」


夕刻…か…。今度は何を見させられるんだろう…


もう戦の先見はしたくない。沢山の人の命が失われていく地獄のような光景をもう見たくない。