「…雛菊、帰ろう。こんな噂なんか気にする事はないのだよ」 あたしの親代わりである陰陽師の安部晴明様があたしを布で隠しながら背中を押した。 「晴明様……。ありがとうございます…」 本当の両親があたしを見る目は『化け物』だった。 そんな化け物であるあたしを引き取ってくれたのが京で名高い安部晴明様だった。 今日は晴明様と一緒に買い出しへ来ていた。今日は帝がお屋敷に来られるからだ。 あたしの先見の力を借りたいのだという。 帝の命令には従わざるおえない。本当は…力なんて使いたくないのに…