「本当だ…人も…鬼も妖も式神も、全ては平等の上に生きている。それを否定する権利は、誰にもないというのに…」
晴明様は悲しげに言う。式には造り出した術者の心が移るというけれど、晴明様の式神が人想いの優しい式神として生まれてくる理由がわかった。
晴明様が優しいからなんだ…
優しくて他者の気持ちに敏感だから…
「きっと…桜鬼も辛いんだ…。人を襲うのも本当はすごく辛いはず。だって…愛した人も人間だったんだから…」
この未来を見た事には意味がある。きっと…この悲しい未来を変える為に誰かが見せたんじゃないかな…
それならあたしは…
「晴明様…あたし…未来を変えたいです…」
本当にそう願う。どうか…誰も傷付かない未来を…
「私も変えたいと…桜鬼の悲しみを終わらせてあげたいと思っているよ」
晴明様はそう言って鈴を二つ用意した。


