先見の巫女



「桜鬼…彼の事は私の父である安倍陽明から聞いているよ」


晴明様は悲しげに睫毛を伏せた。


「…桜鬼は…何百年も昔に人に恋をした。それは決して許される事では無いが二人は確かに愛し合っていた…」


桜鬼…人に恋した鬼…


「だが…鬼と人とではどうしても許されないかった…
桜鬼が愛した女は、人の裏切り者として殺され、それを知った桜鬼は……」


『許さぬぞ人間!!』


桜鬼の怒り狂った声…
愛していた人間を殺された怒り…憎しみ…


「女を殺した人間と関係の無い人間を襲った…
安倍の一族は帝の命で桜鬼を封印した…」


「…ひどいっ……」


なんて悲しい事…
誰かを愛するのに鬼も人も妖も無いのに…