先見の巫女

《朱翠》


「………………」

「どうしたんだよ朱翠!
おいて行くぞーっ!!」


親友の海が俺を呼んで
いる。それでも俺は
前に進めなかった。


あいつの…元に…


―ドキンッ


早く…早く行けと
誰かが俺に訴える。


「あいつ…は………」


遥か遠い記憶…
遥か遠い昔に愛した人の
愛しい人と記憶…


「雛…菊………」


口をつく名前…
夢にいつも見ていた…


栗色のお前を…
何度も何度も…夢に見た。


「何で…何で…お前が…」


気付いたら足が走り出していた。ずっと探し続けたあいつを追って…