「お前が何を背負って
何に怯えてるのか…
俺にはわからねぇ……」
視界はすでに暗闇なのに
朱雀の声だけは真っ直ぐ
あたしに届く。
「だから…だからこそ…
俺は知りたい!!!
お前が俺に望むなら…
どんなモノからも護って
やるから!!!帰ってこい…
雛菊ーーーっ!!」
朱雀があたしに手を伸ばすのが見えた。
縋るようにあたしも手を伸ばす…
…ねぇ…
ねぇあたしは………
「あなたの傍にいたいよ…朱雀ーーーっ!!!」
泣き叫ぶように声を上げる。手が触れ合った瞬間―…
力強い腕に抱きしめられていた。それはずっとずっとあたしの心から欠けてしまっていた想い人…
「朱雀…あたし……
朱雀の傍にいたい……
愛してるからっ…」
涙がポロポロと流れる。
それでも必死に朱雀に訴える。
そんなあたしの涙を
朱雀は優しく指で拭ってくれた。
「俺も…愛してる…
お前が望もうが望まなかろうが…
お前を手放す気なんかさらさらねぇ…」
朱雀はそのまま顔を近付けてくる。今までの遠かった距離を埋めるように。
それから…
静かに唇が重なった。
初めて…幸せを感じた…
そうあたしは……
朱雀、あなたが……好き…
―パリンッ
「………ぁ……」
体が温かくなるのを感じる。自分の体が翡翠の光を放つ。
沢山の記憶が頭に流れ込む。一度は失った大切な者達の絆…
「雛菊…お前………」
朱雀はあたしを見て
驚いている。
「思い出したのか…?」
朱雀の言葉にあたしはゆっくりと頷いた。
雛菊の髪は漆黒から美しい栗色に戻る。


