先見の巫女



―ズキンッ


「痛っ…………」


頭が酷い頭痛に襲われる。
一体自分に何が起きているのか全くわからない。


「雛菊?やっぱりお前…」


朱雀の言葉を待たずに
部屋を飛び出した。


この頭痛の意味に気付く。
これはあたしを
誰かが呼んでるから…


行かなきゃ…
行かなきゃ……


でも何処へ?


気付けば大通りに出ていた。人のいる気配が無い。
あたしはただじっと
そこで立ち止まる。


『我の元へ帰れ…』


そうだ…そうだあたしは…
あたしは……
あなたの元へ………



―ガシッ


「行くな!!」


腕に痛みを感じる。
力強い手に腕を捕まれているせいだ。


「離して…あたし…
行かなきゃ………」


行かなきゃ…
あの声の元へ…


「行かせねぇ…
もうお前を失うのは
嫌なんだよ!!!」


その声にハッとする。
見れば朱い髪の彼がいる。酷く悲しげな瞳をして…


そのまま後ろから
抱きしめられる。


「雛菊…お前をもう失いたくねぇんだ…
頼むから………行くな…」

酷く弱々しい声…
体の力が抜けていくのが分かる。



「朱雀…あたしは何処にも行かないよ…」


何故か分からない。
でもあたしの口は
朱雀にそう言った。


笑顔を見せてほしくて…