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夢を見ている。
長く終わる事の無い夢…
悲しい…記憶…
翠色の彼はあたしに犠牲になるなと言う。何度も…何度も…
でもあたしは……
その道を選び命を落とした。
そして場面は変わる。
目の前には朱髪の青年がいる。彼はあたしに言った。
運命から護ってやると…
自由にしてやると…
彼等は言った…
あたしに"生きろ"と…
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「翠…この名前を何処かで…」
目を開けて最初に入ったのは星雪の安心した顔だった。
「星雪…おはよう…」
そう言って笑えば星雪はあたしの手を強く握る。
「何もなくてよかった…
急に倒れたって聞いて…
心配した…」
星雪の優しさが
素直に嬉しい。
「あたしは大丈夫だよ」
「何が大丈夫だよ、だ
大丈夫なわけねぇだろ」
不機嫌丸出しの朱雀が布団を挟んで星雪と反対側に座る。
「大丈夫よ」
「嘘つくんじゃねぇ…」
「嘘じゃないよ!!」
「…………………」
―無視…
無視ほどむなしいものは無いと思う。
何なのこの人…
嫌な感じ……
「まぁまぁ…二人共それくらいに…」
「うるさい!!」
「うるせぇ!!」
二人の剣幕に星雪が黙ったのは言うまでも無い。