「す…い……んっ…」
唇が離れたかと思えばまた塞がれる。
何が…起きてるの…?
従者である翠が私の
唇を何度も奪っている。
まるで…
不安を埋め尽くすかのように。
「…んっ…はぁっ……」
何とも悩ましい吐息が漏れる。やっとの事で離された唇にはまだ熱があった。
「翠…何を……」
「申し訳ございません…」
驚いて固まったままの私に翠は頭を下げた。
「あなた様が…あなた様が天へと昇ってしまう事が
私には耐えられなかったのです…」
悲しみを押し殺したような言葉が聞こえた。
「あなたは人では
ありませんか!!
何故天へと去る必要が
あるのです!?」
羽優の両片をを掴み翠は必死に訴える。
"どうか行かないでくれ"と…
「…翠……
私はね、翡翠龍と黒闇龍から離れるなんて出来ないの…
血を分けた私の肉親だから…
彼等と共にいる事が私の
願いなの」」
凛として語るその言葉に
翠は羽優の意志が決して
揺るがないと知る。
奇跡が起こらない限り
きっと…
この方の意志は変わらない。
「それでも……
私はあなた様に仕え続けます。
あなたがたとえ昇天し、
私の前から姿を消したと
しても…永久に」
翠の言葉に羽優は笑みを浮かべる。
それは神子の時の顔では無く、羽優という一人の少女としての笑顔だった。
「翠…たとえ天地が別つとも
私の心は主として
翠の傍に在り続けよう…」
これはとこしえの誓い…
あなたを愛し傍にいる
事は許されないから…
"心だけは…
あなたに捧ぐ"と…


