先見の巫女



「だって…黒闇龍」


背後に感じた神の気配に
話を振る。


「…また小言か?」


苛立ちを隠さず発する
言葉には刺がある。


「違うわ。
力が無くともあなたが
神である事に変わりは
ないわ。なのに何故
力に執着するの?」


「力は我等神の誇りであろう?
それを何故みすみす捨てる必要があるのだ?」



質問が質問で返される。
やっぱり話し合いには
ならない。


「誇りの全てが力だけとは限らないわ。
誇りとは心よ。
心の強き者が持ち得るモノ」


それさえ失わなければ
神としての誇りは
失われない…


「…わからぬ…
心など弱く脆く…
誇りなど持ち得ぬ。
とにかく…我は反対だ」


「黒闇龍っ…」


黒闇龍は姿を消してしまった。


どうして……
私達は分かり合えないの?


その事に気持ちが沈んだままとぼとぼと神殿の中へと戻った。