先見の巫女



「うっ…ぁ………」



虚ろな瞳で顔を上げれば、朱雀の顔があった。


「雛菊っ…大丈夫か!?」


あたしの両方の頬を両手で包み込む。


『雛菊ーーーーーーっ!!』

さっきの朱雀の叫び声が聞こえて気がした。


「はっ…うぅっ………」


耳を両手で塞ぎ、頭をブンブンと振る。


違うっ…違うっ……
あんな未来っ…違う!!!


「しっかりしろ!!雛菊!!」


明らかに様子のおかしい雛菊を朱雀が抱きしめる。


「違っ…あんなっ……嫌あぁぁぁぁっ!!!」


叫び声を上げた後、雛菊はバタンッと気を失い倒れてしまった。


「雛菊っ!!おいっ…どうなって……雛菊!!!」


朱雀は雛菊を抱え上げ、頬を軽く叩く。


浅い呼吸を繰り返す雛菊の姿に涙が出そうになった。

「何で…こいつばっかり…」


苦しい目にあわなければならないのか…


「雛菊は先見で疲れています。報告は必ずしますので…今日ばかりはお引き取りを」


晴明の一言で我に返った帝と家臣は素直に帰った。


帝だけは酷く雛菊を気にかけていたが、自分には何も出来ないと悔しそうに帰っていった。