先見の巫女



『愚かしい!!!罪から逃げる事は許さぬ!!』

「っ!!!?」


奥狐の神は長の首に噛み付いた。一同が騒然とする。


「長様!!!!」


あたしは長に駆け寄った。奥狐の神はあたしに視線を向ける。


『…人間…ただちに立ち去れ。これは我等の問題…』


「…去りません」


あたしはきっぱりそう告げた。


『なに…?』


奥狐の神の目付きが変わる。あたしは恐怖を押し殺し目の前の神を見据えた。



「あの天狗の犯した罪は許される事ではありません。それは…償い続けねばなりません」


女の人が受けた羞恥と痛みは心に深い傷を付けてしまったから…


「でも…もう500年という月日が経ちました。あの天狗もその罰を受け寿命まで生き、死にました。…他の者が罰を受ける必要は無いではありませんか」


『ならぬ!!罪を忘れてはならぬのだ。それ故に与える罰は罪を繰り返さない為の戒め…我はそれを示しているだけだ』


…それ自体が罪だと…
なぜ気付かないの…?


「生まれた命を踏みにじり、産んだ母の愛を切り裂いた…それは罪では無いと?」

『………………』


怒りをあらわに奥狐の神を睨みつける。


神様は間違っている。たとえ神だろうと…


「あなたにもあたしにも…
他人の命を奪う権利など無い!!」


奥狐の神は目を見開いた。ハッとしたようにあたしを見つめている。