あたし、少し速度を落として、 ちょっと離された後ろから、願ってみる。 ――あたしのことを、好きになってください。 ピピピピ ‥! 隆太の携帯が鳴る。 まるで、神様が、 「だめだよ」と 言っているような、タイミング。 「‥はい、もしもし。 あーうん、今帰りだけど‥」 ――彼女からだ。 隆太の反応を見て、確信する。 話している声をなるべく聞きたくなくて、 速度をうんと落とした。 これから会いにいくのかな? ずきずき。 胸のあたりが重くなる。