「人間界へ行って、一人でも不幸にすれば、使者の進級試験は多目にみましょう。」


「本当に?!」


目を輝かせるゼルに、使いはホッとした。



使いも、ゼルを人間界に送り込む事を魔王に頼まれた以上、果たさなければならないからだ。



「進級試験とか本当に面倒なんだよ!!それなら仕方なく人間界に行ってやってもいいわ!!」



「良かった。それならすぐ支度して、すぐにでも行ける準備を。」


「はーい♪……って、別に準備やら支度とか要らないじゃん。もう今からでも行けるよ!!」


「でもあなた、天使に会ったらどうするのかとか、勉強してないでしょ??」


「んな事、知らないわよ♪適当に適当に♪んじゃね~♪」


ゼルは大きな真っ黒な翼を羽ばたかせ、人間界へ向かった。