「うん……別れるのがお互いのためだと……思うの」



君は分かってるのかな?



君が別れを口にした、この時でさえ、



僕はこんなにも君にドキドキしているんだよ。、



そして、今の僕は君の言葉、すべてに傷ついているってことを。



胸の奥が痛いくらいにズキズキするよ。



それでも君を嫌いにはなれない僕は、



きっと、世界で一番弱虫な男かもしれないね。



君を恨み、簡単に嫌いになれたら、



どんなに気持ちが楽になれるんだろう。



「樹里菜の気持ちは分かった。とりあえず、帰ろうか…」



「……うん」



車のエンジンの音が波の音を消し、夜の海をあとにした。



僕は黙ったまま、ただひたすら車を走らせた。