「もうこれ以上、イサムとは一緒にいられないっ」



そう言い終わると、そのまま泣き出してしまった君。



きっと君もずっと苦しんでいたんだね。



ごめんね……もう僕は君にとって必要じゃないってこと。



それを認めたくなかった……男らしくないよね。



本当なら、すぐにでも抱きしめたかったけれど、



君はもう僕の腕の中を選ばない。



「ごめん……ごめんなさい。こんな気持ちでは、もうイサムとは付き合えない」



君の小さな今にも消えてしまいそうな声は、



波の音と重なりながらも、僕に、僕の心の中に届いていった。



「こんな私のことなんか、もう嫌いになっていいから……」



「……僕は樹里菜が好きだ。そんなに簡単に嫌いにはなれないよ」



だって、君の全てが今でも、こんなに好きなのに……。