「まぁお嬢ちゃんを救う事は、できへん事はないけど」


袴男はポリっと鼻をかいた。


『!!!』


「ただし、魂は返されへんねん」


『……?』


「あ~つまりお嬢ちゃんの魂はもう向こうに連れていかなアカンってことや」


袴男は身振り手振りを加えて円を描くように説明してくれた。


「魂は循環してるんや。決まった魂を循環させへんと、今度は逆に産まれる予定の命が産まれなくなるねん」


『…………』


「せやから、もしお嬢ちゃんを甦らせるなら、別の生きた魂を用意してお嬢ちゃんに入れなあかん」


『…………』


「まぁ君が本気なら、君の魂をお嬢ちゃんに譲ることになるわな」



俺は涙でぼやける視界で説明を聞きながら


美代を見つめた。


『美代…』


美代が助かる


助かるんだ


美代が助かるなら…





それだけで後はなんでも良い。