「ぎゃ~そないに怒らんでや~!せっかくなんやレアな展開やのに!」


威嚇する俺を大げさに怖がるふりをしてから


袴男はひとつ咳払いをした。


「あ―、まず何をしにきたかと言うとやね?死んだ魂を運ぶのが俺の仕事でな?」


パチンッと男がまた指を鳴らすと


いつの間にか消えていた分厚い台帳がまた現れた。


「ほんで今日、俺はそのお嬢ちゃんの魂をチェック&運びに来たんや」


『は……』


混乱する俺に


袴男はパラパラと台帳をめくり今さっき記入していた美代のページを出して見せた。


「ほら、おわかり?」


『…な……』


美代の魂を…持ってく?


『そ…んな…』


俺は体から力が抜けたように、また美代の上に体を重ねた。


いつの間にかもう冷たくなった美代の体。


血の気のなくなった美代の顔をみて


『美…代…』


俺の瞳からまた涙がこぼれた。


『美代……起きろよ……』


起きなきゃ

本当に連れて行かれちゃうぞ?


『美代…っ』


本当に俺のせいだ…


『うぅ~…美代…』


俺はなんてことをしてしまったんだろう。