ガードレールの向こうで何かを叫ぶ美代


『美代……』


――だけど


美代の声がもう聞こえなくなっていた。


美代の声だけじゃない


いつの間にかなにも聞こえなくなっていた。


こんな瞬間なのに


驚くほど静かでゆっくり穏やかに流れる景色


俺はもう一度トラックを見た。


あぁ、もう避けられない。


人生の終わりとはこんなものか










『美代……』


今度こそ本当に終わりらしい。


美代を守りきれなくてごめん。








俺は静かに目を閉じた。