『や め ろ―――――!!!』





俺はバッグから飛び出すと男の顔に飛びかかった。


『離れろ!消えろ!お前なんかどっかいけ!』


力では敵わないとわかっていても…


体が勝手に動いていた。


『美代に触れるな!!』


「うわッ!!!またコイツ!!」


男はいきなり顔面に飛びかかってきた俺に驚き


そのまま俺を振り払った。


『ぐッ!!』


案の定、俺はいとも簡単に吹き飛ばされてしまった。


コンクリートの地面に叩きつけられた俺の体はむち打ちにあったように痺れた。


「きゃ―――!!マサルさん!」


『うぅ…美代…』


美代の悲鳴に反応して


俺は痺れる体をなんとか美代の声の方へ向けた。









あぁ……


その時、俺はようやく自分の今いる状況を理解した。



どうやら吹き飛ばされた場所が悪かったらしい。


ぽつんと道路に横たわる俺には全てがまるでスローモーションのように見ていた。




パッパ――――――!!



車が激しく行き交う道路の中で


小さな俺の目の前には大きな音を立てて迫り来るトラック。