この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

歩いている内に、景色はいつの間にか車通りの多い場所になっていた。


――ん?


見覚えのある場所…


『あ……』


そこはいつか俺が迷子になった日に辿り着いた国道だった。


思い出した瞬間、あの日と同じようにむせてしまう俺。


『ごほっ…けほっ』


叫んび続けたところに汚い排気ガスの空気を吸い込んだせいだ。


「わっマサルさん、大丈夫?」


美代は慌てて俺の背中をトントンと叩く。


『けほ…大丈夫…』


「よしよし…ここ空気が悪いね」


『こほっ…』


そんな俺と美代を見て男は感心するように言った。


「美代ちゃんてマジで優しいよなぁ」


「あはは、そんなことないですよ」


俺の介抱に必死な美代は


苦笑いしながらも男の話しにもとりあえず答えている。


「いやいや、優しいって…」


「あはは、いや~…」


「うん…。み、美代ちゃん、俺とデートしねぇ?」


「あはは、へ??」


いきなり話しが変わった男に、


美代は驚いて手を止め顔をあげた。