この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

そして部長は


みんなの方に向き直ると少し大きな声で言った。


「よし、みんなお疲れさま。このあとまた打ち上げ行くけど全員参加できるか?」


部長の声に場が活気付く。


そういや…


美代の親父の信太郎も、暑い日の一仕事終えた後のビールは格別だとか、よく言ってたけど


どうやらここにいる連中も同じらしい。


そんななか美代は言った。


「あ!部長、私は今日はやめておきます」


「ん?都合が悪いか?」


「いえ、今日はマサルさんがいるので。居酒屋にはマサルさん連れて行けないし…」


「あぁ、そうか、それもそうだな。じゃあ美代はまた次回だな」


「はい。すみません」


美代が軽く頭を下げた。


また美代を謝らせてしまい悪い気もしたが、それよりも俺はほっとしていた。


これでもう大丈夫か。





そんな時


またあのチャラい声が聞こえてきた。


「あ、俺も今日は用事あるんで帰ります」