この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

しばらくして


広間に集まったご老人を前に部長が簡単な挨拶を始めた。


それが済むと、


次は美代たちが代わる代わるに紙芝居や物まねなんかを披露していった。


そのたびにお年寄りは優しい拍手をくれる。


ボランティアっていうのはこういうことだったのか…


美代がサークルに出掛けていった後、どんなことをしてきたとか話しにはたまに聞いていたけど。


実際にボランティアをしている美代を見るのはまた違う感じがした。


生き生きしている美代。


美代は昔から弱い者や困った者に手を差し伸べるのが好きな優しい子だったよな。


だから俺も美代に救われた。


そんな事を思っているといつの間にか出し物は終わり


美代たちはそれぞれにお年寄りの元へ行き会話を始めていた。


「マサルさんもおいで」


美代が優しく俺を抱きしめ


俺も美代と一緒に会話の輪に加わる。


そして、ここでも俺はお年寄りのアイドルと化した。


膝の上でたらい回しにされる俺。


本日2回目でちょっと疲れたけど…


美代もお年寄りも嬉しそうな顔をしていたからまぁ良しとしよう。


部長も最後には


「うさぎは好評だったな」


となせが機嫌が良くなっていた。