その時






『私がおる』








「……!?」



澄んだその声に山吹たちが振り向くと



いつの間にか、ニャ~ンと一匹の黒猫が近寄ってきていた。


黒猫はしっぽをしなやかに回すと、全員を一瞥した。


「あ…!あん時の猫ー!ッ」


「え?アキラ先輩知ってるの?」


「俺コイツに指噛まれちまったんたよ!こう~ガリッと!」


『黙っとれヒゲ!』


黒猫は静かにマサルに歩み寄る。


『良い顔で逝ったのだな…私もマサルの知り合いだ。その封印禁術とやらに加わろう』


「なんやこの黒猫ちゃんもマサルさんの知り合いかいな?」


『ああ…ちなみに上級の隠密隊で主より格上じゃ』


「隠密…ってなんや?」


「クルック?!隠密隊と言えば普段天界にいないちょっと特殊な天使っポよ。外から内部を監視する天使の番人っクル~」


「はぁ…番人…どうりで見たことない顔やと」


『ぬかせ。お主は本当にいい加減だな。』


「な…なんやとコラ~!」


『私と主は初対面などでないわ』


「…??!ほんまかいな?」