この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

「さ…最上級天使って…片手に数える程しかおらん天使やで?」


「はは…まぁ神様のクソジジイと対等な天使は少ねぇよな」


「そ…そんなお偉い方がなんで下界で隠れてたっポよ…?!」


唖然とする山吹と銀に伸太郎は豪快に笑う。


「まぁ、ちょっと惚れて駆け落ちした女が人間界にいてな」


「お…女っポよ…?」


「あぁ、まぁ俺も若かったしな。その女の魂が生まれ変わる度に俺は何度も側にいて見守ってきたんだ」


「な…なんかわかんねぇけどよ
ロマンチックな話だな」


ヒゲ男の声に伸太郎はフッと笑った。


「んでまぁ、今回はその生まれ変わりが美代の母親の美菜だった訳だ」


「わ…私の…お母さん?!」


「あぁ。だけど美代がまだ小さい時、美代と美菜と旦那の3人が乗った車が事故にあっちまって…」


「………!!」


「美菜が大事に抱えていた美代だけは奇跡的に助かったんだ。
…俺としては見守るだけのつもりだったんだけどな。身寄りがないのも知ってたし、気付いたら美代を抱えて走ってた…」


「………………」


「あとは美代の記憶のとおりだ」


「パ…パ…」



「だけど、俺はお前のことを娘だと思ってるし、大切ってのは本当だぞ?それだけは信じてくれよな?」


伸太郎はにやりと笑うと美代の頭をポンポンと叩いた。