しかし
手榴弾が爆発することはなかった。
「なんちゅう物騒なもん投げとんねん」
突然
どこからか、そんな声が聞こえた。
聞き覚えのある声に、俺は恐る恐る目を開く。
手榴弾はネズミ達の直前で宙に浮いたまま止まっていた。
――――え?
そして
止まっていた手榴弾は突然
フシュ――…と小さく縮むと、そのまま消えた。
「………………」
「………………」
「………………」
俺だけじゃなく
美代もボスも武装集団も
そこにいた誰もがその不思議な現象に声も出せずにいた。
『や…山吹!!僕たちは人間の争いごとに関与しちゃ駄目っポよ』
「んぁ?かめへん、かめへん。マサルさんがこんだけ大事起こしてるんや。俺の些細な行動なんか親父にはバレへんわ」
『クルック~!神様は全部みてるっポよ~!』
その声に、全員がゆっくりと上を見た。
そこには白い袴姿の男と白鳩がふわふわと飛んでいた。



