この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

動物園につくと、さっそく撮影が始まった。


いきなりの生中継に、動物園にいたカップルや親子連れも集まってくる。


「あ、あのお兄ちゃん知ってる~!」


「あぁ、動物とってやつ?あれガセじゃねぇの?」


「なんか今からリアルに見れるらしいよ~!」


「マジで?写メ写メ!!」


野次馬の中からそんな声がいくつも聞こえてくる。


俺はびっくりした。


俺と美代が田舎へ帰省している間に、俺の知名度は本当に上がっていたらしい。


全然、知らなかった…




俺は野次馬から顔を背けた。


これ以上注目を浴びたくない…


そして思った。


この件が無事に済んだら美代に謝ろう。


そして…山吹に頼んで、俺はすぐに消えよう…



思い返せば、美代が事故にあったのも俺が原因だった。


今回も俺が軽はずみにTVに映ったせいで…


俺はいつも美代に迷惑をかけてばかりだ。



俺が美代を好きなばかりに……