この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

「は…??だから…なんだよそれ?」


ひとり状況を理解できない俺に尾崎が言う。


「誰かがネット上でUPしたこの映像が、全世界でよくも悪くも注目を浴びているということだよ。今も誰かが見ている」


「…………」


ネット上で…?

全世界で…??

注目を浴びてる…?


注目を浴びてしまったから…


悪用されようとしているのか?


「…な…んだよ…それ…」




つまり…


美代があんな目にあっているのは俺が注目を浴びたせい――…?


「そ…んな…」


俺は唇を噛みしめた。


悔しさと虚しさ…


そして後悔と怒りで、心が黒く覆われていく。


噛みしめた唇に血が滲んだ。



美代を助けるにはどうしたら良いんだ?


ビデオでは俺の力を証明しろと言っていた…



俺は混濁する頭を落ち着かせるためにひとつ深呼吸をした。



美代を救うために…


俺に出来る、最良の方法を考えなければ。