この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐






「……犯人グループの目星はついているんだ」







TV画面の前で固まっている俺の後ろで、尾崎が静かに言った。


「ビデオに映っていたのは、国際指名手配されている密猟グループの男だ」


「……み、つりょう?」


俺は怒りで回らない思考の中、ようやく反応した。


「あぁ。先日の生中継をみて、君の能力が金になるとふんだのだろうな…」


「俺の能力が…金に…?」


「あぁ…君の力は既に海外でも話題になっているんだよ」


「は…ぁ?」


尾崎は近くのパソコンを操作した。


「これを見たまえ」


「……………」


尾崎に言われ、俺はデスクトップを覗きこんだ。


そこには、突撃deQの生中継の映像が再生されていた。


「これ…YouTubeじゃん」


俺の隣で夏美が言った。


「は…?ユ―…?」


「再生回数…300万?!」


反対側で今度はヒゲ男が上ずった声をあげた。


「あの放送からまだ2週間も経ってねえんだぞ!?」