この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

「…ッな、んなのよこれぇ?!見てらんないょ――…!!」


夏美は泣きながらヒゲ男の腕にしがみついた。


「っ…………!!」


俺も怒りで体中が震えていた。






《最後にこの事は極秘にしろ。警察が動いた時点で、この女の命はないと思え》





男はそこまで言うと、美代の口に巻かれた布を取った。


目隠しだけになった美代。


その口は殴られた衝撃で赤く染まっていた。








《マ…サルさん…?》


美代の小さな声がした。


「み…美代……!」


俺はTV画面にすがり付いた。


俺の手のひらに、美代の目隠しの顔が触れる。




美代……!

美代…………!!!







《迷惑かけて…ごめ…なさ…》







「美代……!!!」


俺は泣き叫んでいた。


震える美代を今すぐ助けてやりたい…



美代…ッ!!









《タイムリミットは3日だ。
3日以内にそちらから証明がなければこの女は殺されると思え》



そこでプツンと映像は途切れた。