「…そろそろ戻るか」
なんだかこれ以上美代に顔を見せられなくて
俺はくるりと歩き出した。
「え、もう帰るの?」
そんな俺に美代も慌て付いてくる。
「暗くなったら危ないからな」
「え~…あ、ちょっと待って!」
美代はさっき集めていた山花を拾うとそれを手帳に挟んだ。
「へへ、押し花にするんだ♪
できたらマサルさんにもあげるね」
「あ……ああ」
無邪気に笑う美代に、複雑にも胸がキュンとなる。
キュンと同時に寂しさが交じるなんとも言えない感情。
俺は胸に手を当てると唇を噛んだ。
美代の反応は当たり前だ。
これが当たり前の反応。
だからこそ、山吹はきっと誰にも言うなと言ったんだな…
こんなに胸が苦しいのは山吹の言い付けを守らなかった咎めかもしれない。
だけど――…
俺は美代に知って欲しかったんだ。
俺の全てを、美代に知って欲しかったんだ。
なんだかこれ以上美代に顔を見せられなくて
俺はくるりと歩き出した。
「え、もう帰るの?」
そんな俺に美代も慌て付いてくる。
「暗くなったら危ないからな」
「え~…あ、ちょっと待って!」
美代はさっき集めていた山花を拾うとそれを手帳に挟んだ。
「へへ、押し花にするんだ♪
できたらマサルさんにもあげるね」
「あ……ああ」
無邪気に笑う美代に、複雑にも胸がキュンとなる。
キュンと同時に寂しさが交じるなんとも言えない感情。
俺は胸に手を当てると唇を噛んだ。
美代の反応は当たり前だ。
これが当たり前の反応。
だからこそ、山吹はきっと誰にも言うなと言ったんだな…
こんなに胸が苦しいのは山吹の言い付けを守らなかった咎めかもしれない。
だけど――…
俺は美代に知って欲しかったんだ。
俺の全てを、美代に知って欲しかったんだ。



