この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐





―――――翌朝





山鳥のさえずりと共に俺は布団から抜け出した。


久しぶりに美代が隣にいない1人きりの夜だったから、ゆっくり眠る予定だったのに。


昨晩のやり取りのせいで俺はまた睡眠不足だった。


リバウンドの件で銀に体を休めるように言われてるのに。


俺は客間から出ると台所で一杯の水を飲んだ。


水道からの水だけど、近くの沢から引いている水だから冷たくて旨い。


まだ誰も起きていないのか静かな家。


コップを置くと俺はそのまま外へ出た。


玄関を出るとまだ寒い。


澄んだ空気の中俺はう~んと伸びをした。


早朝の光が山の向こうの空を明るく照らしている。


その壮大な景色からは神々しさすら感じた。


カコ――ンッ


家の裏手から薪割りの音が聞こえてきた。


俺が見に行くと、まだ薄暗い中で伸太郎が薪割りをしていた。