この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

「マサルさんにとっては…おやすみの合図か何かだったんだよね?」


「え…?あ…あぁ…」


「うん☆じゃあ許してあげよう」


美代はニッコリ笑った。


「だけどマサルさんっ!いくらマサルさんが天然でも、あんなの女の子は勘違いしちゃうからもうしちゃ駄目だよ」


「…………!」


そして


「ふぁ~笑ったら眠たくなってきたぁ」


美代はふぁぁと大きくあくびをすると、すくっと立ち上がった。


「マサルさん、明日は森を案内したげるね」


「……え?森?」


「うん☆じゃあまた明日~おやすみなさい」


美代はそのままパタパタと部屋に戻って行った。




「……………」


廊下の暗闇に美代の足音が消え


縁側に1人残された俺はそのまま後ろに倒れこんだ。



び……………っくりした…



ホッとして、全身の力が抜けた俺はそのまま目を閉じた。


真っ暗な瞼の裏で


ホッとしたのに、美代の言葉になぜかチクリと胸が痛む。


おやすみの合図…?


違う。

違うんだ美代。


本当はそんなのじゃない。


だけど俺はそれを美代に伝える勇気がなかった。


美代の優しさに甘えてしまったんだ。


「…………」


なんて情けない。