この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

そのまま客間にボストンバッグを置くと


俺は美代が待つリビングに向かう。


畳のリビングでは、美代と胡座をかいた伸太郎が座っていた。


「マサルさん、もううちの動物たちとも仲良しになったんだねぇ」


美代は自分がお土産に買ってきたドラ焼をほお張っている。


「久しぶりの再会に、つい話し込んだ」


俺は美代に答えながら机の前に胡座をかいた。


「あ、パパにマサルさんと住んでること言ったら、全然びっくりしてくれなかったんだよ~」


残念そうに唇を尖らせる美代。


「ふはは、甘いぞ美代。パパが何年生きてると思ってんだ。それぐらいじゃパパはビクともせん!」


伸太郎はがははと威張ってみせてから


ふと思い出したようにこう続ける。


「それはそうと美代。夕飯に使うトマトと茄子を採ってきてくれんか」