この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

そんな俺と鈴子のやり取りをみていた太郎はポツリと呟く。


『す、鈴子とも喋れるなんて…ほ…本当にマサルなのかブゥ…?』


「ははっ、だからマサルだって言ってるだろ」


俺が太郎の頭を優しく撫でると太郎の丸い瞳が少し潤んだ。


『ニャにニャ?二人は何を話してるニャ?』


「あぁ、太郎がようやく俺がマサルだと信じてくれたらしい」


『ブヒブヒ?』



そして俺たちは昔のように


俺が太郎と鈴子の会話の中間に入りながら、3人でしばらく戯れたのだった。







「マサルさ~ん、一緒にどら焼食べよ~」


柵に隣接した平屋の古い一軒家の縁側から美代が俺を呼んだ。


そういや俺は荷物もまだ運んでない。


俺は一旦、太郎と鈴子に別れを告げると


ボストンバッグを片手に玄関をくぐった。