この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐

ポンッ


そんな俺の頭に、ふいに伸太郎の大きな手が乗せられた。


「よく帰ってきたなぁ、マサル。おかえり!」


「………!」


俺は見上げて伸太郎の顔を見た。


よく日に焼けた肌に筋肉質な伸太郎。


麦わら帽子の下の優しい瞳が、俺を見てくしゃっと笑った。


「とりあえず乗れ?話は後だ」


「……………」


そうして


伸太郎は運転席に、俺は軽トラックの荷台に乗った。










ブロロロ…


ゆるやかに走り出す軽トラック。


運転席と助手席からは笑い声が聞こえてきた。


青い空に鮮やかな緑の景色が走る。


「……………」


俺は軽トラックの荷台に膝をたてて座り、その中に顔を埋めた。


砂利道の振動が心地いい。



会いたかった伸太郎の


変わらない匂いや笑顔、温かさに…


俺はなんだか泣きたい気持ちになった。