この声がきみに届く日‐うさぎ男の奇跡‐






美代の実家はド田舎にある。






最寄り駅は2時間に1本しか電車が停まらない無人の駅だ。


その駅からさらに車で1時間。


近くにある集落からも車で30分はかかるような



山と山の間に孤立して一軒だけ立っている


それが美代の実家だった。









ガタン…ゴトン…



帰省の道中


田舎道を走る各駅電車に揺られながら、俺は焦っていた。


あと数分で駅につく。


駅には伸太郎の車が迎えにきているはずだった。



「ん~こっちの空気はやっぱり美味しいね~」


電車の窓をあけ、美代が髪をなびかせる。


「あ…あぁ…そうだな…」


俺は消えそうな声で返事をすると窓の外を眺めた。


都会とは違い万緑の緑が眩しい…


俺の生まれ育った地。


もうすぐしたら伸太郎に会えるし


仲良くしていた猫の鈴子や豚の太郎たち


仲は良くないが金魚の又吉にも会えるはずだった。


しかし…それは伸太郎との再開が無事に終わればだ。


「……………」


終わる訳がない…。


もはや言い訳すら思い浮かばない。


最初に美代に、嘘をついた俺への天罰なんだろうか…




誰か…助けてくれ。