銀は人間になる時、きちんと服を着ていたのに


なんで俺が人間になるときは、いつも全裸なんだ…



そんな文句を思いつつ


夜の緑地公園とはいえ万が一にも誰かに見付からないよう


全裸の俺は草の茂みに隠れただひたすら銀の帰りを待っていた。




銀は買ってきた衣類を俺に手渡す。


「ありがとう」


俺は銀から衣類を受け取ると、ようやく草の茂みから出た。


尻を虫に食われたらしく痒い…


『クルック―』


銀はそのまますぐに白鳩の姿に戻った。


そんな銀を見てふと思う。


「銀はなんで普段、人間の姿にならないんだ?」


俺は衣類に袖を通しながら聞いてみた。



山吹なんかはいつも人間なのに


銀にはそんなにすぐに鳩に戻りたい理由でもあるんだろうか?



『クルック~僕の仕事は緊急時対処なんっポ』


そんな俺に銀は答える。


『僕の役目は天使の緊急時に駆けつけて手助けすることっポ。だから普段は力を温存してるっポよ』


さらに続く銀の話では


各地の巡回や視察、また休暇中の天使の代行を勤めたりするのも銀の仕事らしい。