――――え?




目が点になる俺にその男は平然と言う。


「マサル氏が初めて人間になった時も服を買ってきて着せたのは僕ポよ」


『え…………?』


ポよ……?



「あの時は山吹がリバウンド中だったから…」


丸い小さな眼鏡をかけた男性は優しい笑顔で微笑んだ。


『え……?…えぇ?』


俺は戸惑いを隠せずソイツを凝視する。


月明かりに光る銀色の少しウェーブがかった髪に整った顔。


しゃべり方からこいつの正体の想像はつくが…


にわかには信じられない…




『まさか…銀…?』



俺は恐る恐る言う。


眼鏡の男はにっこり微笑んだ。


「そうだよ。僕は普段、力を温存させているけれど。僕も人間になれる…ポょ」


人間バージョンの銀はしゃべり方をうまく直しきれないようで最後に少し難しい顔をした。



『……………』


次から次へと…

今日は頭がパンク寸前だ。


そんな言葉を失っている俺に


「ともかく店が閉まる前に行ってこなきゃ。ここで待ってるっクル」


人間バージョンの銀はそう言うと、クルリと立ち上がり駆け出そうとした。


しかし、駆け出すやいなや、いきなり木にぶつかる銀。


「いッ痛いっポよぉ…」


人間バージョン銀は涙声で頭をさする。


『だ…大丈夫か…?』


「クルック~…鳥目が残っていて夜は視力が落ちるっポょ…」


銀は丸い眼鏡を直しながらへへと笑った。